King Gnu 「 The hole 」のMV公開
「Sympa」の中でも、ひときわ存在感が大きく、壮大なラストにふさわしい「The hole」のMVが本日公開されました。
アルバムを聴いた方は、この曲の存在感の大きさをご存知で何も語る必要はないかと思いますが、ライブでの生「The hole」は本当に圧巻でした。
先日、5月4日の”VIVA LA ROCK 2019”で初アリーナの「The hole」のステージがありましたので、もしよろしければGYAO!の配信も見てみてください。
...前置きが長くなりましたが、初めて聴いたときから、すでに名曲になる存在感を持っていたこの曲に、映像が重なるなんて。。。
いきなり、本日の18時にKing Gnuの公式Twitterからの通知、その後メンバーの井口さん、常田さん、勢喜さん、新井さんのTwitterやインスタで告知されました。
井口さんの声にのせて流れてくる映像は、心臓がぎゅっとなり、少し息が苦しくなるような、映画のような作品でした。
常田さんがおっしゃっていた「この1曲で聴いた誰かの人生を変えようと、毎曲毎曲作って来た」中の1曲、作った人の思いどおりが正解とは限らないし、正解はない世界だと思っていますが、確かに受け取ったものがあります。
まだまだ自分の中で整理がついていないし、MVを見るたび、また、自分の経験や時を経てこれから捉え方が変わっていくかもしれませんが、今の、自分が観たMVの見解をしるしておきたいと思います。
超個人的見解です。
<登場人物>
①主役の男性(A)
②主役の女性
③主役の女性に暴力をふるっていると思われる男性(B)
④男性(A)の恋人?の男性(C)
「晴れた空、公園のベンチで一人」
ー公演のベンチで主役の女性が座っているシーン
ここは、既に主役の男性(A)が亡くなって時間が経った後で、
・男性(A)との出会いから、男性(A)の死までを想い出している
「いつもより穏やかに見える日は」
ー女性がカフェに入っていくシーン
ここから、回想が始まる
・女性がカフェ店員の男性(A)に一目ぼれ
「吐き出せばいいよ」
ー女性の目線で男性(A)の姿を追うが、別の男性(B)に視界を遮られる
・女性の気持ちが男性(A)に向かうのを男性(B)の存在が邪魔をしている
「消えそうな心の声を聞かせて」
ー男性(A)がパスタを女性に届ける
・男性(A)と女性が結ばれる
「ぽっかりと空いたその穴を」
ー鏡の前で女性が顔を見ている、その顔には暴力を受けたような大きな痣が目のまわりにある
・女性の持つ闇、傷
「僕に隠さないで見せておくれよ」
ーその女性を男性(A)が包み込むように抱きしめる
・女性が抱えている傷を受け止めて男性(A)が包み込む
「そっと包み込むように」
ー朝の光と幸せそうな女性と男性(A)
・男性(A)が女性の闇を包み、女性の傷を分け合う、癒す存在になろうとしているように見える
「僕が傷口になるよ」
ーシーンは一変して、夜、男性(A)誰かの呼び出しに急いで(早く会いたくて)自転車で誰かのもとへ向かう。たどり着いた先は、恋人と思われる男性(C)の部屋だった
「気づけば誰かの物差しで」
ー男性(A)と(C)のキスシーン、お風呂でのキスシーン
・男性(C)から求めている気もするが、(A)も応えようとしている、求められることで満たされている
「身体にぽっかりと空いたその穴を」
ー一夜を過ごした後の朝、男性(A)が朝食を食べている際に女性から電話がある。男性(C)の態度は平然としているままだが(A)に何かを告げる
・男性(A)は後ろめたさを感じている
「逃げ出せばいいよ」
ー男性(A)と女性の海へのドライブデート。
・楽し気に見える海でのシーンもあるが、帰りの車で、女性が男性(A)の終始心ここにあらずの様子を感じ、不機嫌になる。
「あなたを守らなくちゃ」
ー夜になり、雨が降り出し、車が急停止、女性と男性(A)の喧嘩が始まる
男性(A)の態度に、女性が”いいかげんにしてよ!”と大雨の中、車から飛び出す
「ぽっかりと空いたその穴を」
ー男性(A)も女性の後を追い、抱きしめる
「僕に隠さないで見せておくれよ」
ー車の中で朝を迎える
・二人の関係も穏やかなものに修復された
「愛する誰かが」
ー男性(C)の部屋に男性(A)がひとりで行くと、男性(A)の分のパスポートとニューヨーク行きのチケットがあった
・男性(C)のニューヨーク行きに男性(A)を連れていく意味を持つ
「自殺志願者に」
ーいつも通り、男性(A)がカフェに出勤し清掃をしているところに、出国前の男性(C)が
現れ、男性(A)とキスをしているところを鏡越しに写真を撮る
「光を」
ー男性(A)が服を着たままシャワーに打たれ、女性からの電話を受けるが出ない
・何が正しいのか、自分でもわからない
「掻き集めて」
ー男性(A)が女性の部屋を訪れ、言い合いになり、その末女性は部屋を出ていく
「この世界の希望も絶望も」
ー男性(A)が女性の後を追う
「降り注ぐのなら」
ー女性が事故のような大きな音を聞き、振り返る
「あなたの正体を」
ー横転する車
「あなたの存在を」
ー裸足で音のしたほうに向かう女性
「僕が傷口になるよ」
ー車に跳ねられて死んでいる男性(A)を目にする
ー明るい光の中での二人のキスシーン
ー女性の涙
ーダブルベッド
はぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー。
最後の女性が音に振り返って、裸足のあしが映るシーンから、息がつまって、鳥肌がたちます。
歌詞を見れば見るほど、映像を見れば見るほど、感じ方はそれぞれで、わからなくなる一方、常田さんがこの曲をつくったのは、
・誰もが脆くて、自殺志願者になりうること
・「僕が傷口になるよ」を通して、”あなた”だけじゃなくて”僕”も守らなければいけない存在だということ
なのかな、と思いました。”あなた”の穴(傷口)を包み込んだり、世界から遠ざけたり、そっと庇うために”僕”が傷口になるとうたっていますが、結局、傷口がある以上は、傷を代わりに傷で埋めているだけで、僕に傷があるままだからです。
傷の連鎖ではなく、本当の意味での、傷を小さくしたり、ふさいだり、癒すことができる世界がいいと思いました。
この「The hole」も、「白日」も、常田さんのつくる曲は実体験からしか生まれないとおっしゃっていました。
後悔のないように生きるなんて、誰だって後悔が残る選択をして生きているわけではないですが、少しでも、自分の中の人への向き合い方、自分への向き合い方を、見つめなおそうと思いました。
以上、超個人的見解でした。
「The hole」の世界が広がって深く、濃くなって、思い入れが一層強くなりました。
次回、いつかまた生で「The hole」聴ける日が来ることを本当に楽しみにしています。